ナカの目のつけどころ
降下型避難機器「UDエスケープWith」
導入インタビューVol.2
UDエスケープWith 導入インタビューVol.2
はじめに
「災害や感染症に強いクリニック」をコンセプトに設計され2022年10月末に竣工、12月より診療を開始した医療法人好輝会梶本クリニック三国ヶ丘分院。医療施設にUDエスケープWithが採用された初めてのケースになる。理事長でドクターの梶本幸男氏に、導入の経緯や使用した感想を聞いた。
お話を伺った方
医療法人好輝会梶本クリニック三国ヶ丘分院
理事長 梶本幸男 氏
導入の経緯
- 梶本クリニック三国ヶ丘分院の設計コンセプトを教えてください。
本院は人工透析治療を行う病院で、利用者は、週3回、1回4時間程度の治療が生涯に渡り続く為、院内で過ごす時間は日常生活の大きな部分を占めます。そのため、院内の設備には、高機能除菌換気装置や誘引エアビームなどの最先端のシステムが導入されていています。最新鋭である避難設備、降下型避難機器UDエスケープWithもその一つです。
- 病院運営で日頃から危惧していたことは?
当院に通院している患者さんの約半数が歩行補助器具や車椅子を利用しています。また透析治療後は、強い倦怠感や起立性低血圧が起こりやすい患者には、車椅子の利用をお願いしています。そのようないわゆる避難弱者を階段で避難させるためには、スタッフが担ぐ、シーツを担架にするなど、人員と体力が必要で、かつ危険が伴う作業なんです。既設の災害・非常用階段避難車イーバックチェアはより安全でなのですが、操作には練習が必要で、降下ごとに階上に担ぎ上げる必要があり、効率は必ずしも良くないです。

非常用階段避難車イーバックチェア
また災害はいつ起きるかわからないため、自力歩行可能な患者であっても、透析治療後の様々な副反応により、災害発生時の環境下によっては、階段での避難は二次災害を生む要因となります。高齢でADLの低い患者を院外へ避難させることは時間や労力を要するため、避難器具の選定に苦慮していました。
- UDエスケープとの出会いは?
初見は、日経産業新聞に掲載されたUDエスケープの記事でした。当院に限らず透析施設はご高齢の方やADLの低下した患者さんが多く通院されているため、災害時に避難する場合、患者さん1人に対して複数の職員で対応せざるを得ないのが現状です。そのような患者さんであっても、単独、自力で避難できるとは、すごく画期的な避難機器だと感じました。そこですぐに本院(大阪市福島区)への設置を検討しましたが、既設の建物では設置場所や避難経路の確保ができず、断念しました。
- その後、どのようにして設置に至ったのでしょうか?
UDエスケープを知ってから数年後、三国ヶ丘分院の建設計画中に車椅子対応のUDエスケープWithが完成したと聞きました。そこで、設計を変更し、導入することが出来ました。UDエスケープWithは操作が簡単で人手を最小限に抑えられるため災害時の人員の配置や避難誘導の流れがある程度スムーズに想定できる、また停電時にも問題なく階下に避難できる点は大きな強みになると期待しています。

- 利用者の方の感想はいかがですか?
UDエスケープWith導入後に実施したアンケート調査では、災害への備えについて約94%の患者さんから「安心である」と回答をいただけました。
令和5年度消防庁長官表彰 受賞
この梶本クリニック三国ヶ丘分院に設置した「UDエスケープWith」が、車椅子利用者の単独避難や停電時における利用を可能とした降下型避難機器の開発を行い消防防災技術の高度化の推進に寄与した功績として「令和5年度優良消防用設備等表彰」を受賞しています。